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交換レンズ市場でニコンが1位に 80年続く「NIKKORレンズ」の魅力に迫る(2/2)

2013/04/26 18:03

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ニコン映像カンパニー開発本部第二設計部第二設計課の佐藤治夫主幹

ニコン映像カンパニー開発本部第二設計部第二設計課の佐藤治夫主幹

道越 ちょっと戻りますが、時代とともに道具立てがよくなると、各社とも技術的に横並びになりますよね。ニコンらしさをどう出していますか。

佐藤 いま取り組んでいるのが、三次元的な絵づくりです。写真は三次元を二次元に、つまり立体映像を平面に押しつぶしているわけです。いま、巷では写真の評価といえば、ピントが合っているところがバリッとシャープに仕上がることがよしとされています。したがって、そのシャープ感が評価されています。しかし、それだけでは「いい画像」としては不満足です。例えば斜め上から撮影したポートレート写真では、顔にピントが合ってシャープに見えますが、からだは大きくボケて、まるで首が空中に浮いているように見える写真がよくあります。これでは奥行き方向の描写が好ましくない。顔からからだにかけて、徐々にボケてくれるレンズが必要だ、という考え方です。

道越 まるでボケのグラデーションのようですね。

佐藤 そうです。ぼけた部分にも主張があるわけです。すべてのレンズが三次元的にハイファイなレンズにならなくてもいいのです。ですが、お客様がそんな絵が欲しいときに提供できるようにしたい、というのが我々の思いです。

脈々と受け継がれる「NIKKORレンズ」のDNA



道越 それでは「NIKKORレンズ」のDNAを継いだ名玉について教えてください。印象的なレンズに「Noct Nikkor 58mm F1.2」がありますね。

佐藤 ノクターン(Nocturne=夜想曲)に由来する名をもつ夜景撮影に適したレンズです。夜景は暗いので、できるだけ大口径のレンズにしました。ですが、大口径レンズで解放絞りで撮影すると点がフレアで鳥の羽のような形になってしまう。これを補正したのが「Noct Nikkor」です。「NIKKORレンズ」のなかで、唯一機能以外の名前がついたレンズでもありますね。

当時12万円もした憧れの名玉「Noct Nikkor 58mm F1.2」

当時12万円もした憧れの名玉「Noct Nikkor 58mm F1.2」

道越 最新のレンズですと、約10年ぶりにモデルチェンジした望遠ズーム「AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR」が人気ですね。

佐藤 80-400mmの高倍率でありながら、VR(手ブレ補正)をつけました。描写性能はこれまでの80-400mmからブラッシュアップして、ひと皮むけたできになっています。シャープネスだけではなく、ピントが合った部分から自然にボケるよう、こだわってつくっていますので、気持ちのいい写真が撮れますよ。テレコンとの相性も抜群です。

道越 ターゲットはバードウォッチャーの方々ですか。

佐藤 もちろん、野鳥も十分いけます。また、80mmの絵も撮れますから、鉄道や飛行機、クルマなど、乗り物系を撮る方からの要望が非常に多いです。

「AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR」

「AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR」

道越 広角レンズでは「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」が3月7日に発売されましたね。

佐藤 前モデルは、逆光時にフレアが出てしまうことがありました。ゴーストフレアが出ないように味つけしたのがこのモデルです。

「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」

光学設計から見直してフレアを抑えた「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」

道越 そもそもフレアはどうして出るのですか。

佐藤 強い光がレンズに入ってくると、レンズの表面で反射した光が、レンズ内部やカメラ内部で複雑に反射しながらセンサに届いてフレアを生み出します。「AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED」は、ナノクリスタルコートをレンズの表面に施して反射を抑えるのではなく、光学設計を見直して反射した光がセンサに当たらないよう、そもそも反射しないよう設計しました。これは先に説明したシミュレーション技術の向上によって実現したものです。また、7枚羽根円形絞りによって、自然できれいなボケを表現できるのも特徴です。

道越 最後に、これからデジタル一眼レフカメラを購入する人に向けて、アドバイスをお願いします。

佐藤 家族写真など、日常の風景を撮りたい方は、最もコストパフォーマンスのいいダブルズームキットからスタートするのがいいと思います。キットレンズはよく写らないと思われるかもしれませんが、実はその逆で、かなり気合いを入れてつくっています。

ニコンF、ニコンSの実写テスト写真

ニコンF、ニコンSの実写テスト写真、テストを繰り返して理想の絵に近づけていく

 キット用のレンズは一番難しいレンズで、ベテランが設計を担当します。コストを抑えなくてはいけない、簡単につくれなくてはいけない、よく写らなくてはいけない、レンズ枚数を減らして軽く、小さくしなくてはいけない……。制約条件が非常に多く、それをクリアできるベテランがつくっているので、かなり自信をもってお勧めできます。

 キットのレンズにもの足りなさを感じるようになってきたら、次の一歩を踏み出してください。例えば、暗いなあと思ったら大口径の明るいレンズを、もうちょっと被写体に近づきたいと思ったらマクロレンズを買い足してください。そうやって、写真の世界を広げていってください。また、ニコンのショールームやサービスセンターにカメラを持ってきてくだされば、気になるレンズを装着してテスト撮影ができます。レンズだけではなく、最新のカメラも試せますので、描写力の違いをぜひ体感してください。そして、撮ってみて、気に入ったものを買われるといいと思います。

道越 ありがとうございました。


(取材・道越一郎/文・山下彰子)

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