ポメラはどう進化するのか?
ストイックなまでに文字入力に特化したポメラ。今後どんな方向に進化するのかは気になるところだ。ハード面では「もっと薄く、軽くしたい。キーボードや画面は小さくしてしまうと使いにくくなるが、薄さはまだ改善の余地がある。重さも370gと軽量ではあるが、まだずっしりとした感じ。もう少し軽くしたい」(立石さん)という。
田辺さんも「今は、キングジムが初めて世に出したということで、許していただいている部分はあると思う。これだけ注目度が高まったこともあり、次のバージョンでも、いい加減なことができないと気を引き締めている。ユーザーの方々の期待を受け止め、少しスパイスを加えて、いい意味で期待を裏切る製品を出していければ」と話す。
ただ、いかに新いいジャンルの製品といっても、1社1モデルだけでは市場の拡大はおぼつかない。立石さんは「今販売店にデジタルメモという売り場があるわけではなく、ある意味でまだスキマ商品であることには違いない。やはり製品ジャンルの拡大を考えれば、多少競合製品も出てきたほうがいいのかもしれない」と語る。同社は、ラベルライター分野にカシオやブラザーが参入してした際に、競合製品の登場で製品ジャンルの認知が高まったという経験をしている。競合の登場効果もよく理解しているわけだ。もちろん今後、自社製品でのラインアップ展開も考えているようだ。
キングジムのメイン需要は法人で、売り上げのほぼ8割を占める。しかし景気後退の影響を受け、現在、法人需要は厳しい。1月28日には通期で赤字に転落する見込みを発表したばかりだ。一方、好評のポメラは一般消費者の方向け製品ということもあり、法人需要の後退による影響が少ない。さらに業績の落ち込みを幾分カバーしているような状況だ。会社としても希望の星としてとらえている。
田辺さんは「どれくらい多くの人たちに支持されるかはまだわからないが、関心度が深い製品だというのが大きな特徴。浮ついてはいけないけれど、もしかしたら大きな市場が潜んでいるかもしれない」と期待を寄せる。
本当にほしいものをつくる!
「使っていただくとわかるんですが手放せなくなります。使いこなす人たちにとっては生活のスタイルが変わってしまうほどの道具」と立石さんは語る。インタビューの前日、たまたま1日休暇を取って銀座をぶらぶらと歩きながら、入ったカフェで次期ポメラのアイディアを書き連ねたという。もちろんポメラで。その一部を見せてもらった。そこにはさまざまなアイディアがズラリと並んでいた。「休みの日に何をしているのかと思うこともありますが」と照れ笑いしながらも、自ら開発したポメラに惚れ込んで使っている。
現在同社の会議ではポメラを使う人が非常に多い。ある会議では、目の前に座った5人が5人ともポメラを使っていた、ということもあった。開発チームはもちろん全員がポメラ。しかも、天板の色も没になったものなどを使っている人もいる。ただ、共通しているのは「みんな、気に入って使っている」という点だ。
本当にほしいものを徹底的に追求してつくる……。ものづくりの原点をポメラの開発に見た思いがした。(BCN・道越一郎)
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