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ジョブズが魅せたiPod――使うこと自体が楽しい「touch」に触って

2007/09/07 00:05

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 米アップルは9月5日(日本時間9月6日未明)、サンフランシスコでマスコミを集めたスペシャルイベントを開催、ラインアップを一新したiPodファミリーを発表した。

 それから約8時間後、アップルジャパンは、東京・表参道ヒルズにマスコミ関係者を集め、米国で行われたスペシャルイベントのビデオを上映し、注目の「iPod touch」など新iPodファミリーを日本で初めて披露するプレスイベントを開いた。その模様をレポートする。


●「NBCからの着信音」の設定で会場は大爆笑


 スペシャルイベントは、米アップルのスティーブ・ジョブズCEOがステージに登場して始まった。冒頭、ジョブズCEOは、全世界でこれまでにiTunes Storeで販売された楽曲数が30億曲に上ると紹介。そして、6月の発売以来好調なセールスを続けているアップル初の携帯電話「iPhone」用に、着信音を99セントで販売することを明らかにした。



 また、iTunesに収録した楽曲の中から任意に30秒を切り出して、「iPhone」の着信音にすることもできるようになることも紹介。「iPhone」の着信音は、電話をかけてきた相手によって変えることができ、ジョブズCEOは自らそのデモを行ってみせた。そこで彼が「これは、NBCからの着信音にしよう」と言うと、会場は大爆笑。



 実は、米NBC/UniversalはこれまでiTunes Storeで同局のテレビ番組を販売していたのだが、9月以降の新クールについてアップルとの間で販売価格に折り合いが付かず、8月いっぱいでiTunes Storeでの番組販売を終了していた。ジョブズCEOは、それを皮肉ってみせたわけだ。


●謎の色の名前が判明。それはなんと……


 その後、カラーを一新した「iPod Shuffle」、新しくスクエアタイプのデザインに変更され、ビデオ再生やCover Flow機能に対応した「iPod nano」を相次いで発表した。新しい「iPod nano」のディスプレイは2インチ。現行「iPod」よりも小さいが、解像度は320×240ドットあり、1インチ当たり204ピクセルで、歴代Macの中でももっとも高精細な部類のディスプレイを採用していることになる。「ビデオ映像も十分に快適に楽しめる」とジョブズCEOは自信を見せた。



 ちなみに、「iPod Shuffle」と「iPod nano」は5色のカラーバリエーション。ところが、名前がわからない色がある。アップルストアでは、classicについては、シルバー、ブラックの表記があり、shuffleとnanoについては「PRODUCT RED」の表記がある。類推して、シルバーとブラックは分かるが、残る「青っぽい色」「緑っぽい色」の名前が見当たらないのだ。これについてアップルジャパンのスタッフに確認したところ、彼らは「ブルー」「グリーン」と呼んでいるという(そのまんまかい)。やっと名前が判明したこの2色だが、そういえば「紫っぽい色」の名前について聞くのを忘れていた。これは依然として謎のままだ。いずれにせよ、前モデルの派手な色に比べると、ずっと落ち着いた淡い色になった。



●ついに「touch」登場、あまりにも噂どおりでちょっと拍子抜け


 イベントに戻ろう。続いてジョブズCEOは、「『iPod』という呼び方はとても可愛らしいと思うが、これからは、従来のiPodのことを『iPod classic』と呼ぶことにする」と宣言し、「iPod classic」を発表した。「iPod classic」は、基本的デザインこそ従来のiPodからの変更はないが、素材や厚み、HDD容量などが変更された。



 そして、いよいよお待ちかね、噂のフルスクリーン&タッチパネル採用のiPodの登場だ。噂系サイトでは、このイベントに先立って、「iPhone」そっくりのiPodが登場するのでは、という憶測が飛び交っていた。フタを開けるとまさしくその通りの「iPod touch」が新登場。逆にちょっと拍子抜けしてしまった。



 とはいえ、まだ「iPhone」が上陸を果たせない日本市場においては、あのゆびでなぞる画期的なインターフェイスは大注目だ。ジョブズCEOは「iPod touch」のさまざまな機能をデモしてみせた。そのインターフェイスは、限りなく「iPhone」に近い。本体サイズ、ディスプレイサイズとも、「iPnone」と同じ。無線LAN機能を備え、Webブラウザの「Safari」や「YouTube」も搭載することから、文字どおり、携帯電話機能のない「iPhone」が「iPod touch」だといえる。



●iTunesがWi-Fi対応ということは? touch単独で曲がダウンロードできる!


 さらに、無線LAN機能を搭載した「iPod touch」向けの、新しいiTunes Storeも発表された。「iTunes Wi-Fi Music Store」だ。無線LAN接続した「iPod touch」単体で楽曲の購入が可能になる。購入した楽曲は、次にMacやPCと「iPod touch」を同期したときに、自動的にMacやPCのiTunesにもコピーされるしくみだ。



 この「iTunes Wi-Fi Music Store」は、「iPhone」でも利用できるようになる。そのためのiPhone用アップデータも近々提供されるとのことだ。また、すでにiTunes Storeのサービスが提供されている国なら、「iTunes Wi-Fi Music Store」はどこでも利用できるようになるという。


 無線LAN機能を持っているということは、当然Webサイトの閲覧も楽しめるわけだが、「iPod touch」はブラウザにSafariを採用している。ジョブズCEOはその理由として、Webページ上で行う必要がある無線LANサービスの接続認証のためだという。空港やホテルなどの無線LANアクセスポイントを利用するためには、Webページ上での認証作業が必要となる場合が多い。「iPod touch」では、そうしたケースを想定してあらかじめWebブラウザを搭載することで、無線LAN接続サービスを利用しやすくしているのだという。


●スタバで「今流れている曲」を即購入、まずはシアトルとニューヨークから


 米国では、スターバックスのコーヒーショップで、無料で無線LAN接続が使えるようになる。ジョブズCEOが、スターバックスコーヒーの発起人でありチェアマンでもあるハワード・シュルツ氏をステージに招き入れると、シュルツ氏は、アップルとスターバックスの2年間に及ぶ交渉の成果をアピールした。



 スターバックスでの無線LAN接続では、直前に流れていた10曲を含む、店内に流れている音楽のダウンロード購入も可能になるという。シュルツ氏は、このサービスは、10月にまずシアトルとニューヨークでスタートし、順次、米国内の主要都市にあるスターバックスに広げていくと話した。


 イベントの最後に、ジョブズCEOは、「iPhoneはこれまでのアップル製品の中でもっとも高い顧客満足度を獲得している」と語り、だからこそもっとアグレッシブに行きたいとして、現行の4GBと8GBという構成を、8GBだけに絞り、かつその価格を現行の599ドルから一気に200ドル値下げして、399ドルにすると発表した。


 発売当初に599ドルで購入したユーザーは、きっと悔しい思いをしているだろうが、日本での発売を待ち焦がれている一人としては、なるべく安くなってから日本発売となるのは大歓迎だ。



 締めくくりは恒例のライブパフォーマンス。今回は女性シンガーのKT Tunstallがステージに登場して、弾き語りを披露した。こうして、約1時間半におよぶスペシャルイベントのビデオ上映は幕を閉じたのである。


●ずんぐり? いえいえ、新nanoは「かわいらしい」


 このビデオ上映のあとは、日本のプレス向けにハンズオンコーナーが用意されていた。ここで、「iPod Shuffle」を除く新しいiPodファミリーに実際に触れることができた。日本初お披露目だ。


 まず、気になっていた「iPod nano」のかたちをチェックしてみた。ビデオやアップルのWebサイトで見ると、ずいぶんずんぐりしているように感じられるのだが、実際に手にとってみると、意外に小さく軽いので、スクエアデザインもすんなり受け入れられた。むしろ、従来の縦長の「iPod nano」をスタイリッシュと表現するなら、新しい「iPod nano」は「かわいらしい」という表現がぴったりだ。ジョブズCEOが自慢していたように、ディスプレイは確かに高精細で、ビデオ再生時も十分に美しい。「iPod mini」から続くこのカテゴリーは、新しいiPodファミリーの中でもまた、セールスのボリュームゾーンになりそうだ。



 「iPod classic」は、本体背面に使われている鏡面仕上げのステンレスはそのままだが、表面の素材がこれまでのポリカーボネートから、アルミに変更されている。内蔵するHDD容量は80GBと160GBの2タイプだが、どちらも本体の厚みは第5世代のiPodよりも薄くなっている。全面が金属になり、ボディの厚みが薄くなったことで、よりソリッドな印象が強くなった。「iPod nano」が可愛くてポップな感じとすれば、「iPod classic」は高級感のある大人のイメージといったところだろうか。



●操作そのものが楽しい……それが「touch」


 ハンズオンコーナーでも黒山の人だかりだったのが、「iPod touch」。いまだ「iPhone」を手にできない日本のユーザーにとっては、「iPhone」のインターフェイス、使い心地のよさを先取りして体験できるのが、この「iPod touch」である。指の動きに追従する画面切り換えのスムーズさは、やはり特筆に値するだろう。明らかに、初代iPodから培ってきたインターフェイスとは別系統にある操作性だ。音楽やビデオを楽しむだけでなく、この操作性をも楽しむアイテム、それが「iPod touch」なのである。



 ところで、「iPod touch」には、「iPhone」と同じ指先でタップして文字を入力するソフトウエアキーボードが搭載されているのだが、これが日本語に正式対応している。入力はローマ字入力で、漢字仮名まじりの予測変換が機能する。携帯電話の文字変換に近い感じ、と思ってもらえればいいだろう。おかげで、Safariブラウザでのグーグル検索や、iTunes Wi-Fi Music Storeでの楽曲検索などが、日本語でできる。



 アップルジャパンのスタッフに聞いたところ、日本語変換に使われているのは、Macが標準で装備する日本語入力プログラムの「ことえり」ではなく、新たに開発した日本語入力プログラムらしい。以下は未確認だが「ソニーエリクソンの携帯電話で日本語入力プログラムを開発していた中心的人物が、アップルジャパンに移籍して、「iPod touch」の日本語入力の開発を担当している」という噂もあるようだ。


●日本でのWi-Fi展開、もしかして妄想かもしれない1つの仮説


 集まったプレスの間でも、「iPod touch」に関してもっとも多く挙がっていた質問が、日本での無線LAN接続サービスについてだった。スターバックスでの無線LAN接続は、米国でも本格的に普及するのは08年以降。ゆくゆくは日本のスターバックスでも無線LAN接続が可能になるとしても、それがいつになるかはまだわからない。


 では、どうやって屋外で「iTunes Wi-Fi Music Store」を利用すればいいのか? NTTフレッツやソフトバンクが提供している有料の無線LANアクセスポイントが利用できるよう個人で契約しなければいけないのだろうか? その点をアップルジャパンの担当者に聞いてみると、「いまのところ、無線LAN接続サービスの利用について、具体的にお話しできることはない」という回答だった。しかし、「iPod touch」の発売は9月末。まだ少し時間的余裕があることから、日本でも何らかのサービス提供が用意される可能性は残っている。



 あくまで仮定の話だが、ソフトバンクの孫正義CEOは「iPhone」に強い興味を持っていたことで知られる。そこから、もしもソフトバンクBBモバイルの無線LANアクセスポイントを「iPod touch」の標準サービスとして開放するようなことになると、同アクセスポイントが利用できるもっとも身近な場所はマクドナルド店内ということになる。そして現在、日本マクドナルドのCEOを務めているのは、誰あろう、元アップルジャパンの社長であった原田泳幸氏。アップルとソフトバンクと日本マクドナルド、3社の協力関係が築けるのでは、と考えるのは、素人の浅知恵に過ぎるだろうか。


 ともあれ、アップルが打ち出した新しいiPodファミリー、とりわけ「iPod touch」によって、米国でいうホリデーシーズン、日本でいう年末商戦の携帯オーディオ市場と、デジタル音楽配信市場がどう動くのか、興味は尽きない。(フリーライター・中村光宏)


アップルジャパン=http://www.apple.com/jp/
「iPod」 =http://www.apple.com/jp/ipod/



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