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「Tiger」体験ルポ バグ? 儀式? それでも愛しい苦闘の日々

2005/05/26 23:33

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 4月29日、Macユーザー待望の新OS、Mac OS X バージョン10.4「Tiger」(以下「Tiger」)が発売された。それから約1カ月。売れ行きは依然好調だ。発売直後の爆発的勢いこそやや落ち着いてきたものの、BCNランキングの販売本数シェアでは相変わらずビジネスソフト・OS部門の1位を独走している(図)。

 4月29日、Macユーザー待望の新OS、Mac OS X バージョン10.4「Tiger」(以下「Tiger」)が発売された。それから約1カ月。売れ行きは依然好調だ。発売直後の爆発的勢いこそやや落ち着いてきたものの、BCNランキングの販売本数シェアでは相変わらずビジネスソフト・OS部門の1位を独走している(図)。

 とはいえ、新しいOSには何かとトラブルがつきもの。事実、発売直後からさまざまなトラブル情報が飛び交い、ようやくバグフィックスのためのアップデーターが公開された。しかし効果は期待薄との声も。それでもなおアップデートに挑む者絶えないMacユーザー。そんなマックフリークの心情をまじえながら、好調続く「Tiger」の秘密を探ってみた。


●目玉機能のSpotlightだが、使えるまで「丸2日」の我慢が必要?

 1989年に発表された「漢字Talk 6.0.4」以来、バージョンアップのたびに既存のアプリや周辺機器との互換性に悩まされてきた。それでも発売初日に購入、即インストール。さまざまなトラブルを乗り切り、ようやく安定したころにまたバージョンアップを懲りずに繰り返す。そんな筆者は「Tiger」にも大きな期待を寄せていた。

 なかでもSpotlightは今回の目玉。一番のウリにもなっている非常に強力かつ高速な検索機能だ。少々荒っぽく説明すると、MP3ファイルでも、デジカメで撮った写真でも、MS Office文書でも、無造作に保存するだけであとは勝手に分類してくれるという便利なもの。来年後半に登場する予定の次期Windows OS「Longhorn」にも同様の機能が搭載されるとアナウンスされているが、Macユーザーはいち早くこの「Tiger」で手に入れたのである。

 このSpotlight、まず最初にMacのハードディスク内を自動的にスキャンして検索用の索引を作成するのだが、これにとんでもなく時間がかかることがある。なかには「丸2日」以上かかったという友人もいる。既存のMac OS を上書きアップグレードするインストールを行った場合はとくに時間がかかるという声もあるが、必ずそうなるというわけでもないらしい。ちなみに筆者の場合は、Mac OS 10.3.9 からの上書きアップグレードで、使用領域22GBのハードディスクから索引を作成するのに約6時間と比較的「短時間」で終了した。

 それでもMacユーザーがひたすら堪えて待ち続けるのは、この画期的な検索機能を自分の手で試してみたいからこそ。Spotlightがあれば従来の「フォルダ/ファイル」という概念はもはや必要なくなる、とさえいわれる体験ができるのは、今のところMacユーザーだけなのだ。

 それに、時間がかかるのは基本的に最初の索引作成時のみ。それ以降は新規作成や変更が加えられたファイルやフォルダについての索引が書き換わるだけなので、たいして時間はかからない。索引作成中は、メニューバー右上にあるSpotlightアイコンの虫めがねの中が点滅するというギミックも、Macユーザーの心をくすぐる。

●安定するのは半年後? 1年後?

 待つことには慣れている、というと多くのMacユーザーに叱られるだろうか。それでも、OSのメジャーバージョンアップでバグが出るのは当たり前。気長にアップデーターの公開を待つ、というのがお決まりの常識だ。

 さすがにMac OS X になってからは、すべての環境で必ず発生するという始末の悪いバグは少なくなった。ユーザー個々の環境によって再現したり、しなかったりするゴーストのようなトラブルが増えている。「Tiger」の場合も同様。「外付けストレージを認識しなくなった」「Mac標準搭載の日本語IM『ことえり』のユーザー辞書(単語登録している辞書)が消えてしまった」「Windowsネットワークに接続できなくなった」「アップルの有料Webサービスである.Macで同期がとれなくなった」「CPU稼働率が異様に高くて発熱量がすごい」「ネットワークサーバーの日本語が文字化けする」「Mac標準搭載のメールソフト『Mail』で送受信できなくなった」などなど……、数えあげればきりがないほどの不具合が指摘されている。一方で、そういったトラブルとはまったく無縁という幸運なMacユーザーもいるのである。筆者の場合も「いまのところ」、目立ったトラブルには遭遇していない。

 5月16日には「Mac OS X アップデート10.4.1」が公開された。「信頼性の全体的な改良を行った」とAppleではアナウンスしている。ネットワークまわりを中心に改良が加えられているようだが、これによって「Windowsネットワークとの接続がうまくいくようになった」「.Macと同期できるようになった」という人もいれば、「いまだに何も変わらない」という人もいて、反応はさまざま。手慣れたMacユーザーの間からは、「バージョンが10.4.5くらい(半年後? 1年後?)になれば、きっと大半のバグも消えるのでは」という声も聞かれるくらいだ。

●Macユーザー同士がトラブル解決をサポートする、という文化

 個々のユーザーの環境によって、トラブルが発生したり、しなかったりするので、メーカー側としても現象の再現とその対策がなかなか進まない、という事情があるのかもしれない。

 それでもMacの場合、ハード本体とOSをともにApple 1社で供給していることや、幸か不幸かMac向けのソフトもある程度数が絞られることから、ユーザーの環境にもどこかで共通点が生まれる。さらにMacユーザーは伝統的に、自分が発見したトラブル解決法を積極的に公開する“エバンジェリズム”にあふれているので、「この環境で、こんなトラブルに陥って困っています。誰か助けて!」と声を上げると、同じようなトラブルから抜け出せた誰かしらが救いの手を差し伸べてくれたりする。そうしたMacユーザーによるMacユーザーのためのサポートが成立しているのが、アップルコンピュータのWebサイトにある「Discussion Boards」だ。これから「Tiger」をインストールしようと考えている人は、ぜひチェックしておくことをおすすめする。

 なお、トラブルの中には、設定方法や環境構築の手順に起因するものも少なくないようだ。ある手順に従って設定し直せば問題が発生しない、というもので、そういったトラブルもOSの“バグ”と呼ぶか、Macならではの“儀式”と見るかは、Macユーザーの間でも意見の分かれるところだろう。

●バックアップを厭わなければ「Tiger」は試す価値あり!

 いずれにしても、OSをアップグレードする前にはバックアップをとっておくことが常識。Mac OS X 10.3以降、十分な容量の外付けハードディスクさえあれば、インストールディスクから起動して「ディスクユーティリティ」で、内蔵ハードディスクやボリュームを丸ごとイメージファイルとして保存したり、そこから元の環境を完全に復元できるようになった。何かあったとき、内蔵ハードディスクをそっくり旧環境に戻すのが実に簡単にできてしまうのだ。これは、現在のMac OS の大きなアドバンテージだと筆者は考えている。

 バックアップさえ完璧なら、「Tiger」の新機能をいち早く試してみるのも悪くないだろう。新しくて画期的、そしてクールなデザイン、それでいてどこか人間くさくて、遊び心をくすぐるギミックが大好きなMacユーザー。「Tiger」はそんなMacユーザーを魅了する、アップグレードする価値のある新OSであることは間違いない。(フリーライター・中村光宏)


<筆者のMacintosh遍歴>
 1989年に発表された「漢字Talk 6.0.4」で初めてMacintoshのOSに触れる。それ以前にBASICを少しだけいじった経験を持つが、MacのGUIに衝撃を受け、以来熱烈なMac信者となる。Macの新機種が発表されるたびに歓喜し、AppleのCEOの言動には常に関心を払う。どんなことがあっても、やっぱりジョブズは天才で、ゲイツより魅力的で、MacOSは(Windowsよりも)すばらしい最高のパソコンOSだと信じて疑わない情熱家である。

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