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iPod好調でもシェア低下の謎、独走アップルの不思議なねじれ現象

2005/02/04 12:46

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 1月15日の「iPod shuffle」を皮切りに、「Mac mini」、「PowerBook G4」とアップルの新商品が次々と日本市場に姿を現した。いずれも、斬新な商品コンセプトとコンシューマを意識した価格設定で、ウィンドウズ市場の切り崩しを狙った強力な戦略商品といえる。しかし、過熱する人気の裏側で、微妙なほころびも生じている。アップルコンピュータが抱える弱点とは何か。それは絶好調に見える「iPod」シリーズの意外なシェア低下からもうかがうことができる。

 1月15日の「iPod shuffle」を皮切りに、「Mac mini」、「PowerBook G4」とアップルの新商品が次々と日本市場に姿を現した。いずれも、斬新な商品コンセプトとコンシューマを意識した価格設定で、ウィンドウズ市場の切り崩しを狙った強力な戦略商品といえる。しかし、過熱する人気の裏側で、微妙なほころびも生じている。アップルコンピュータが抱える弱点とは何か。それは絶好調に見える「iPod」シリーズの意外なシェア低下からもうかがうことができる。

 は、全国の大手家電量販店のPOSデータを集計した「BCNランキング」をもとに、10月3週から1月最終週までの「iPod」シリーズの販売状況をグラフ化したものだ。携帯オーディオプレーヤーでのアップルの人気は圧倒的だ。しかし、赤い折れ線グラフのシェア推移をみると、不思議なことにシェアの乱高下が続いている。


 11月末までは35%前後と好調にシェアを伸ばしてきたが、12月に入ったとたん、一転して失速状態ともいえる急落となった。ちょうど年末商戦のさなか。「iPod」は商戦の目玉商品とうたわれるほどの人気ぶりだった。にもかかわらず、この時期、「iPod」のシェアは一気に13%まで急落していた。下がったのは、シェアばかりではない。実は、販売(青い折れ線)そのものが、年末年始商戦にも関わらず、この3か月で最も落ち込んでいたのである。

 「iPod」を購入しようとしたファンならば知っての通り、とにかく買おうとしても商品が手に入らなかった。しかし、それは売れすぎて品薄になったというより、そもそも店頭への供給が途絶えていたからである。

 の黄色い棒グラフは、店頭への商品の入庫量を表したものだ。通常、メーカーは年末商戦に合わせて、11月後半から右肩上がりで販売店への入庫を積み上げていく。ところが、「iPod」の場合、12月の第1週で商品供給が息切れした。一番売れる時期に、商品が店頭に入ってこない。結果、在庫(青い折れ線)は年末商戦にも関わらず、10月の3分の1に減り、販売もシェアも急下降するという現象につながったわけである。

 同じ頃、米国でも「iPod」シリーズはクリスマス商戦の花形として、爆発的な需要を巻き起こしていた。関係者によれば、米国への供給を優先したことが、日本国内での品不足に拍車をかけたとされる。

 この供給の不安定さが、「iPod shuffle」の発売以降の販売にも微妙な影を落としている。を見ると、発売週に当たる1月2週になって、下がっていた赤い折れ線のシェアは反転し、一気に30%台のシェアを獲得。同じく、青い折れ線の販売指数も右肩で上がり始めている。しかし、注目したいのは、その後、販売が伸びているにもかかわらず、シェアが腰折れ状態となって減少していることだ。

 「iPod」シリーズの人気が落ちたわけではない。BCNランキングでは、売れ筋1位から5位までを「iPod」シリーズが独占し、「iPod shuffle」も、4位と5位に登場している。が、「iPod shuffle」や「iPod mini」を求めるユーザーが店頭に詰めかけても、その多くが商品を手にすることもできず置き去りにされたままだ。

 販売店に聞くと、現状は予約注文分をさばくのが精一杯で、店への入荷と同時に売り切れというのが実態だという。皮肉なことに、「iPod shuffle」が火を付けたシリコンオーディオへの人気を吸収して、大きく売り上げを伸ばしているのがアイリバーやリオジャパンといった競合メーカーである。

 この結果、既存シリーズに「iPod shuffle」を加えて、本来なら大幅なシェアの上乗せが可能であるにもかかわらず、逆にシェアを失う格好になっているのが「iPod」の最近の状況だ。アップルのシェアは、10月2週の34.7%から、直近の1月最終週では27.4%と7ポイント近く下がった。

 もちろん、「iPod」、「iPod mini」、「iPod shuffle」の人気が圧倒的に高いことはいうまでもない。にも関わらず、このちぐはぐさ、不思議なねじれ現象は何だろう? 圧倒的に勝利を収めながら、ことはアップルの筋書き通りに運んでいない。

 熱心なアップルファンは、ある意味、新製品の品切れ状態には馴れている。しかし、スティーブ・ジョブズCEOが語るとおり、これらの商品でウィンドウズユーザーを取り込もうとするならば、しっかりとした供給責任を果たすべきだろう。入荷の見通しもつかないまま、市場を放置しておくことは、ユーザーへの裏切り行為にほかならない。

 「iPod」はもはや一部のアップルファンのための商品ではない。圧倒的な「iPod」人気のなかで、店頭でのシェアが微妙に揺らぎ始めていることを、アップルは市場からの警鐘と受け止めるべきだろう。(BCN 田中繁廣)

[※グラフの販売、在庫、入庫数量は、10月18日の週の在庫数量を100として指数化]

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